top of page

​【あらすじ】

 

婦人靴を扱う会社で働く私。そこは男性のいない女性ばかりの会社。社長をはじめ、社員全員が若くて美しい。最初は親切だった彼女たちだったが、やがて彼女らの嫌悪の対象となると、私は床を這う虫同様に扱われる。ハイヒールで蹴られ、踏みつけられ、その靴底を舐める日々。壮絶な踏みつけ地獄のその行き着く先は・・・ 

(内容より一部抜粋) 

今度は細く尖ったヒールの踵で踏み直したのです。実体感としての重みが体全体に広がり、次第に痛みが薄らぐと不思議とまどろみの中にいる感覚が遠退きました。手の甲 にはヒールの踵が深く食い込んでいます。痛みは潮の満ち引きのように繰り返しながら、次第に大きなうねりのような痛みが蘇って来ました。これが女性の現実の重さです。ハイヒールに全体重をあずける白く肉付きの良い細い脚にストッキング越しの透明なうぶ毛を見ました。 

暴力的な欲望がエスカレートすると、全身を踏みしだくようにして歩き回り、最後に横顔に片足のブーツを乗せ、力を込めました。もう片方のブーツが背中から離れ、代わりに横顔を踏んだブーツに全ての重心が移ると、頭の骨が悲鳴をあげました。顔に片足で立っているのです。ブーツの鋭いヒールは顎の付近にありました。彼女の重みに馴染めないどころか、本気で命の心配をするほどになっていました。 

​【あらすじ】

アルトカルシフィリア(女性から靴で踏まれることに興奮する性的嗜好)シリーズ2作目。幼い頃から兄妹のように育った信也と優奈。しかし、優奈はお嬢様で、信也は優奈の屋敷で働く家政婦の子供だった。成長するにつれ、互いの「立場」と「格差」に、ふたりは気づいていく。信也の母親の雇用継続を条件に、彼と「奴隷契約書」をかわした優奈。自分がはいた靴を舐めさせたり、踏みつけたり、信也を執拗にいじめるようになる。はじまりは、「ちいさな女王様ごっこ」だったが、やがて、それはエスカレートし、優奈はブーツのヒールで彼の目を踏んで失明させてしまう・・・。 

(内容より一部抜粋) 

優奈の足元に跪いた。おずおずと手をのばし、まず優奈の両方の上靴を自分の膝に踏ませ、左足の上靴を膝に残し、両手で優奈の右足を持ち上げて支えた。信也はふたたび優奈の右足の上靴の靴底を見た。赤いゴムは汚れで黒ずんでいる。ギザギザ模様の中にたくさんのわたゴミのようなものが付着している。舐めてよ、と優奈がイスの上から急かす。信也は優奈の上靴の底に口を寄せた。強烈なゴムの匂い。匂いに覚えがある。学校の体育館の床の匂いだ、と思った。舌を出し、ゆっくり優奈の上靴の底に触れた。にがい。舌がビリビリとしびれる。顔をしかめる信也を優奈は楽しむようにながめている。 

死ぬことを気にしない虫になりたい・・・。 しかし、正気になって現実にそんなことを想うと、優奈の母や優奈に踏み殺されるなんてことができるだろうか。現実に彼女たちの体重を全身に受けて死ぬのだ。これまで、たくさんの虫やカエルなどを身代わりの代理人として立てたのも、快楽の「死」を求めながらも、要は、現実の「死」が怖かったからだ。親友であるボブまで身代わりに立てた時、その「罪」の重さに、自分はいつか「バチ」が当たると、そんな予感がした。そして、とうとう、その予感は当たり、目の前は赤くなった。 

すると、信也は、イタイ・・・イタイ・・・、とうめきながら頭をかかえ込み、床で転がる。早紀は信也を追いかけ、ブーツの尖ったつま先で頭をボールのように蹴りあげ、その信也の頭を優奈は足でつかまえると、ブーツの踵で踏んでいった。頭を優奈の全体重が乗ったブーツのヒールで通過され、信也はその頭をもう踏まれたくない、とかかえ込み、ゴメンナサイ・・・ゴメンナサイ・・・、とまるで母親からの叱責に耐えきれない子供のように泣き出した。

​【あらすじ】

アルトカルシフィリア(女性から靴で踏まれることに興奮する性的嗜好)シリーズ3作目。女性に虐げられ、それでも女性を女神と崇める男たちの耽美な物語。その容姿の醜さ故に、幼い頃から、いじめを経験してきた赤星。女性たちからも、踏みつけにされ、虫同然に扱われる屈辱と苦痛の日々。しかし、彼にとって、それは「快楽」だった。やがて、彼のそんな生き方に傾倒していく私。女性の残酷さに翻弄された男たちに待っていた最後の悲劇とは......。 

(内容より一部抜粋) 

凛子は、私の指示通りに、部屋のすみに行くと、そこから私を見ていた。小柄な凛子がとても大きな女性に見えた。凛子がこっちへむかって歩いてくる。両手の甲には、さっきの痛みがまだ残っている。黒いブーツが迫り、私は目を閉じた。そして、踵の先が右手を直撃した瞬間、激痛が全身に走った。身体じゅうの血が逆流していくようだった。 

凛子から与えられる「死」への憧憬と、罪悪感が、私の中で激しくクロスした。変わり果てた彼らのそばには、凛子のハイヒールがある。凛子は私や彼らを見下すようにして立っている。彼らの肉片で汚れたハイヒールが神々しくさえ思えた。私は彼らの「死」を自分の「死」としてとらえていた。凛子を、女神と見立て、その女神から与えられる「死」にエクスタシーを感じていた。 

(作品について) 

この作品は、2006年4月に単行本として刊行された「踏まれたい/ 葉桜夏樹著」のkindle版です。一部、加筆・修正していますが内容に大きな変更はありません。

【あらすじ】


メタモルフォーシス(人間から物や他の生命に変身し、女性から靴で踏まれ続ける異端メルヘン) 若くて美しい女性ばかりの婦人靴会社がある。カイチロウは、前からそこの女子トイレのマットになって踏まれたいと願っていた。病が彼をおそい、死期が迫ると、カイチロウは、自分が死んだら女子トイレのマットの中に骨を入れてくれ、とシゲルに残し、死んでしまう。希望通り、女子トイレのマットになったカイチロウだったが そこから出されて散骨されると、こんどは婦人靴会社の社屋近くの虫に転生する。虫となったカイチロウは、仲間をハイヒールで踏み殺され、はじめてその残酷さと悲しみを知る。そして、そのあたりの虫たちのあいだで、まことしやかにささやかれている言い伝えを知る。それは「生きているうちに若い美人の女性から踏まれて死ぬと極楽浄土に行ける」というものだった。 

(内容より一部抜粋) 

そんなことを思い返しながら、机の下の奈緒先生の足もとで、カイチロウは自分の素足を踏んだ上靴の靴底を目の前に見ていた。上靴で踏まれたいと思った。痛い目にあえば、奈緒先生から優しくされる。そう思った。すると奈緒先生の上靴の靴底が神聖なものに思えた。薄汚れた靴底のギザギザの滑り止めには、たくさんの黒いゴミが付着していた。カイチロウは、気づくと、靴底に舌を這わせていた。 

タザキの背中を見ると、白いシャツには血がにじんでいる。踏みすぎたせいで、背中の皮膚は踏み破られている。ハイヒールの靴底に血をつけたくない美香は、比較的きれいな場所を見つけると、そこに右のハイヒールの踵を突き立てた。踵の先で踏み台の硬さをたしかめると、左足で床を蹴り、背中に飛びのった。 

美香は踏んだモノの潰れ具合を確認すると、その死骸に、浮かしていた右のハイヒールのちいさな面積の踵をあわせた。そして死骸を踵で踏みつけると、踏んだまま、反対の左のハイヒールを浮かし、こんどは足がすくんで動けない虫の上にかざした。彼女のハイヒールの影で虫がいる床が暗くなる。 

【あらすじ】


メタモルフォーシス(人間から物や他の生命に変身し、女性から靴で踏まれ続ける異端メルヘン) カイチロウへの義理から、清掃派遣会社をクビになったシゲルだったが、プライベートでは、婦人靴会社で女性社員たちから虐待されるタザキと親交を深める。また、女性アイドルグループの映画のエキストラの仕事で、複雑な過去を背負った美少女ミルクと知り合い、彼女から優しくされたことで、シゲルは生れてはじめて人の情を知る。撮影とはいえ、ブーツでシゲルの顔を踏むことをためらうミルクたちアイドルグループ。しかし、シゲルの説得で、しぶしぶ、彼女たちはそれに応じる。シゲルはそのことで顔に大ケガをするが、彼はミルクの役に立てたことがうれしかった。と同時に、ミルクのシアワセを祈るシゲルだったが、彼女を不幸にする原因にたいし、命を投げ出す覚悟をした。 

(内容より一部抜粋) 

どこを踏もうかと考えていた少女は、鼻に狙いをさだめた。ブーツの本底を鼻に軽くあて、靴底のギザギザで鼻先をこする。体重はまったくかかっていない。少女は、じらすようにして、いつまでも踏まない。それが逆にシゲルには残酷だった。死刑執行の日を、当日まで知らされない死刑囚の心情だった。少女の気まぐれで、シゲルの鼻は踏み潰されるのだ。少女の目に衝動の光が宿り、シゲルの鼻は形を失った。痛みより鼻の骨が折れた感覚が先だった。少女はそのまま鼻に重心を集める。それから、踏んでないほうのブーツを高々とあげ、鼻に全体重がかかっていることをアピールする。ブーツの下で鼻の形は完全に消えている。血が口に入る。血の味がする。たぶん鼻は鼻血で血まみれなのだろう。窒息感の中で、かろうじてまだある意識につかまる。 

その足もとに跪き、彼女のハイヒールに唇でふれるタザキ。美しい外国映画のワンシーンのようだった。窓辺から射し込んだ光で、ふたりのいるところだけが明るい日だまりになっている。そこだけが永遠に時間がとまっているようだった。さっきまで、あれほど残酷に見えた桜子の表情が、いつのまにか、優しくほどけている。それどころか、子供を見る母親の目になっている。それを、女の色気と美香は見る。タザキは桜子の両方のハイヒールの靴底を舐め終えると、疲れたらしく、彼女の足もとで、うつ伏せになった。桜子はそんなタザキの姿をいとおしそうにながめている。それから、ゆっくりと、桜子は立ちあがった。 

パンプスのヒールが頬に食い込む。もし、顔に傷がついたら、と思った。ミルクのブーツでつけられた顔の傷がべつの傷で消えたら生きてはいけない。体をおこそうとした。背中を誰かが踏んでいる。複数の女性のパンプスで背中を踏まれている。踏まれている重みの感覚がない。涙があふれる。床がぬれる。それにもかかわらず、顔を片足で踏んでいた女性が、シゲルの横顔の上で、両足のパンプスをそろえる。パンプスの鋭利な靴底模様を頬の皮膚に感じ、顔はさらに床に押し潰される。床と一体化してしまった錯覚がする。 

【あらすじ】 

アルトカルシフィリア(女性から靴で踏まれることに興奮する性癖)シリーズ4作目。私の経営する調剤薬局で勤務する花泉。彼女は大学を出たばかりの美しい女性だった。ふたりだけの職場。私の視線は彼女の脚や足や靴、そして彼女が踏む床に釘付けになる。花泉から踏み殺されたい、とそんな思いがつのると、私は彼女の運転する車の前に飛び出していた。さいわい、一命は取りとめたものの、車椅子の生活となってしまう。花泉は自責の念からか、私の介護のため一緒に暮らすようになる。私の性癖を受けいれた彼女からの、踏まれる生活。そして、夫婦のようなシアワセな日々が続いていたが、そこへ、お嬢様学校の高校に通う、花泉の妹、美優が私たちの生活に入ってきた・・・ 

(内容から一部抜粋)

花泉はオットマンから両足をおろすと、上体をおこした。左右のアームレストに、それぞれの手をかけて立ちあがった。私は四つん這いの格好で見あげる。彼女の神々しさ。美の化身。床についた両手のすぐ先には花泉のブーツがある。その手はブーツに踏まれたがっている。もちろんブーツもそれをわかっている。花泉は、左のブーツを床に残したまま、右脚をゆっくりとあげた。そして、私の左手の上に右のブーツをそえた。身体じゅうに電流が走る。まだ踏まれてはいない。ただ、ブーツの靴底で、かるく、ふれられただけだ。左のブーツを浮かすと、踏まれた左手の甲に花泉の体重が集まった。靴底から花泉を感じる。やがて、左のブーツも右手をおおい、両方のブーツから、それぞれの手の甲を踏まれる。じっくりと両手を踏まれる。靴底から花泉を感じる。土下座した手を踏まれている格好だった・・・ 

* 

私の胸部に靴をならべた。「これから、学校に入るね。学校は土足禁止だから」 そう言って、美優は右のローファーをぬいだ。それから、白いソックスのつま先を右の上靴に入れて、ぐいと胸を踏みつけた。痛みはなく、むしろ、ゴム底の踏圧が心地良いくらいだ。左のローファーもぬぎ、その足を左の上靴に突っ込んだ。美優は私の胸の上にいる。そこで、かがんで左右の踏んでいた靴の踵を手で元に戻して、両方の上靴をきれいにはくと、私の胸を踏んで立っていた・・・

【あらすじ)】

アルトカルシフィリア(女性から靴で踏まれることに興奮する性的嗜好)シリーズ5作目。裕福な家庭の子女ばかりが通う、有名女子高校で教鞭をとる坂谷は、若い女性教諭や生徒たちの足もとに日ごろから目をうばわれている。彼の秘密は、女性の脚や足や靴、踏みつけに強い性的嗜好を感じることだったが、教諭としての立場上、性欲が満たされない彼は、そのはけ口として、SMクラブの元カリスマ女王様だったミヤビの店に常連として通っている。そんなとき、学校の通学路に坂谷と同じ性癖を持った不審者があらわれる。そのことで、坂谷は自分の性癖の源があらわになる。過去、現在、妄想と、踏みつけ地獄が縦横無尽に入り乱れる、脚踏奇譚(きゃくとうきたん)の世界! 

(内容より一部抜粋) 

育美はミミズ腫れを、生き物に見立て、すべて踏み潰す気のようだ。背中を歩きはじめる。ハイヒールの踵が踏む位置は、すべてミミズ腫れの上だった。皮膚から浮き出たミミズ腫れを、ハイヒールの踵がまた皮膚のなかに押し戻す。ミミズ腫れはヒール痕の深い血の穴で連なっていることだろう。途中、育美が自分のハイヒールの靴底がぬれていることに気づいた。踏んだあとの皮膚に靴底の血の模様が残ったからだろう。育美は、そのことで坂谷に文句を言っていたが、その声は遠かった。 

* 

すぐにローファーがおおった。踏まれる、と思ったときには、生徒のローファーで押しつけられていた。人差し指から薬指までを踏みつけられている。踏まれた感じはない。靴底にかるくふれた程度の、そんな感触。手を踏んだ生徒は、まったく気づいた様子はない。となりの生徒と喋りながら、そのまま通りすぎていく。つねづね、生徒たちから踏まれたいと願っていたが、今回のことは、彼にとっても偶然のことだった。 次は右手の甲あたりを踏みつけられる。踵だった。さっきとは違う、本格的な痛み。高い場所から、こぶし大の石が落ちてきた、そんな衝撃。その生徒も、踏んだことには気づかず、行ってしまう。さすがに、その痛みは全身を走る。 



雪でぬれた冷たい地面に腹這いになった。その姿を雪と暗がりがかくしている。車の奈保からもかくしている。あとは奈保が右のブーツでアクセルを踏み、何も知らないまま、坂谷の右手を轢き潰していくだけだ。すぐに車のエンジンがかかり、小刻みにタイヤをゆすりはじめる。排ガスの匂いがあたりにこもる。しかし、その匂いが車に踏まれる現実の危惧へと気持ちを引き戻し、そこで、ふと、迷う。右手は利き手だ。もちろん無事にすむと思う。が、万が一もある。せめて左手にしよう、などと臆病風に吹かれる。そして左手に差しかえる。エンジン音が一段と大きくなったところでタイヤが動いた。動いた、と思ったときには、すでに左手はタイヤで踏まれていた。

bottom of page